〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第20章 猫さんと曇天の銀杏の木 ❀ 石田三成 ❀
『猫さん』
貴方が私の所に初めて来たのは、
いつだったでしょうね?
いつの間にか部屋の住人になっていた貴方は。
私が読書に没頭している時、
明け方になって、ようやく閨に入った時。
気がつくと側にいて、丸くなっていましたね。
その柔らかな温もり。
それは無意識でも私を安心させ、
温かな気持ちにさせてくれました。
そう──……
『あの方』にとてもよく似ている。
今はその温もりをこの手にした私ですが、
貴方は貴方で居なければ駄目ですよ?
だって、居なくなると
とてもとても不安に駆られるから───………
「ふふっ、三成君くすぐったいよ」
私の腕の中で、美依様が小さく笑みを漏らす。
私は美依様と一緒の褥で、美依様を腕で抱き締めながら……
その滑らかな肌に、手を滑らせていた。
先程まで愛でるに愛でたせいか、美依様の身体はまだ火照って温かい。
少し汗ばんでいる額も。
白い肌がまだ染まっている気がして、妙に色っぽいし。
美依様は普段、純粋無垢な印象がある分。
こうして『女性』を曝け出した後の気怠い姿は、自分だけの特別な姿に思えて、つい頬が緩んでしまう。
「だって、美依様の肌がとても気持ちいいから…綺麗だし、ずっと触れていたくなります」
「ふふっ、ありがとう」
「身体は辛くないですか?すみません、随分無理をさせてしまって」
「大丈夫、心配し過ぎだよ」
腰の辺りを優しく撫でると、美依様は胸にくっついて幸せそうに笑った。
美依様を抱いていると、自分でも制御出来ないくらい欲情してしまい……
果てては、その腹の中に注ぎ込んだ。
何度となく求め、身体を攻めて。
美依様は可愛く乱れながらも、無理しているのではないか。
そうは思っているものの……
(美依様は温かいから…離れられないんですよね)
すでに、その温もりの虜になっている。
軟らかな肌、甘い匂いのする身体。
それは己を高ぶらせ、そして溺れさせる。
もう二度と離せないな。
そんな風に考えた半面……
まだ美依が居ない時は、違う温もりが側に居たと。
それに気づいて、思わず目を泳がせる。