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〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀

第17章 櫻花に夢見し君想ふ ❀織田信長❀






「美依、年が明けたら初詣に行くか」




年の暮れ。

夜明け前の天主で、信長は美依を懐に抱きながら。
その紅い瞳を柔らかく細めて言った。

先ほどまで散々信長に愛され、蕩けるに蕩けきっていた美依は、ふわふわしながら話を聞いていて。

しかし、初詣の話を聞いた途端、弾けたような笑みになった。




「わぁ…ぜひ行きたいです!」

「では伊勢国にでも赴くか、そこに復興を助けた神宮があるのな」

「伊勢…尾張のお隣りですね。神社の復興ですか?」

「ああ、神宮の遷宮を手伝った」

「せんぐう……?」

「一定期間で全ての社殿を造り直す行事だ」

「それも公務ですか?」

「少し違うな、説明しても美依には難しい」




まるで子供扱いされるように、頭を撫でられ髪を梳かれ。
美依は若干膨れっ面になった。

信長の公務は手広すぎて、正直解らない事が殆どなのが事実だ。

天下統一をすると言っても、戦ばかりではない。
大きな仕事、小さな仕事……
これは本当に必要なのかと思う事もある。


それでも……少しでも力になれたら。


戦や表舞台で役に立てないのなら、せめて信長が『本当の自分』で居られる場所を。

身体と心を休め、安心出来る居場所を作る事。
両手を広げ『おかえりなさい』と言ってあげられるように。


それが密かな夢だったりする。


まぁ、信長は本当に度量が広すぎて、計り知れない所ばかりだから……

本当に今の自分が役立っているかは不明だが。
もう少し勉強した方がいいかな、なんて思ってみたり。

だって、今は信長はただの『彼氏』では無い。




「何を膨れっ面になっている、気に障る事を言ったか?」

「信長様が子供扱いするからです、そりゃ私は信長様ほど頭良くはありませんが、でも……」

「でも、なんだ?」

「説明してくれれば理解出来ます。だから、子供扱いしないでください。私は信長様の、つ、妻なんですからっ……」




美依がちょっと口を尖らせながら、それでもぴとっと胸に引っ付く。


そう、信長と美依は三ヶ月前に正式に祝言を挙げ……
美依は信長の正室となった。

夫婦となった今でも、二人は相変わらずで。
信長に美依が振り回される日々が終わった訳ではない。




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