〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第16章 SEKIRARA ー秘密の言葉はお前の為にー❀明智光秀❀
『私、光秀さんの可愛いお嫁さんになります!』
そう宴で宣言した美依は、半年後。
本当に俺の可愛い嫁になった。
俺は、美依が可愛くて可愛くて。
毎晩毎晩愛でていたら、また半年後。
美依はしっかり孕んで、子を身ごもった。
───そして、次年皐月の朔の晩
美依は一人の姫をこの世に誕生させた。
愛する美依が産んだ、愛する娘を、
俺は『花月(かづき)』と名付けた。
皐月の満月の事を『花月(はなつき)』と言うらしい。
月のない夜に生まれた、愛する娘が、
満月のように、夜を照らすように。
戦国の世。
戦乱と言う、暗闇の中で、たった一つ。
紫紺の夜空に、輝くように──……
「父様~っ!」
艶やかな淡色の髪を風になびかせ、小さな幼子が走ってくる。
聞きなれた声で『父様』と呼ばれ、光秀はふわりと後ろを振り返った。
途端に、がばっと足元にまとわりつく小さな姫。
膝を折りしゃがみ込むと、その足元に来た小さな姫の頭をなでながら、苦笑したように言い聞かせる。
「花月(かづき)、あまりお転婆をするな」
「はい、ごめんなさい。父様お仕事は終わりましたか?」
「後は文に目を通して終わりだ」
「じゃあ、今日は一緒にごはんが食べられますね」
優しい声色で『ああ』と返事をすると、嬉しそうに大きな琥珀の瞳をキラキラと輝かせた。
あまりに愛らしいので、思わずその小さな身体を抱きしめると。
『花月』と呼ばれた、その小さな姫も、短い腕をいっぱいに広げて抱きしめてきた。
────『花月(かづき)』
それは光秀と美依の間に生まれた姫の名前だ。
皐月生まれの花月は、今年で四歳。
艶やかな銀白色の髪に、くりっとした黄金の瞳。
容姿は光秀の血を色濃く継いでいた。
加えて、負けず嫌いでお転婆で意地っ張り。
自我も最近芽生えてきて、わがままながらも一番可愛い年頃だ。
光秀と美依の娘は、すでに城の中でも皆の可愛がられる存在として、周りに本当に愛されているが。
若干可愛がられ過ぎて、心配なことも、あったりなかったり ──……