〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第12章 俺の恋人は藍玉の天使《後編》❀豊臣秀吉❀
私達の逢瀬は、まず秀吉さんの服選びから始まった。
私は銀行からあるだけの貯金を降ろし、秀吉さんの服を買いにセレクトショップまで走った。
秀吉さんは大人の男の人だし。
中途半端に安物は着せられないと思い……
高くても、それなりに一式。
全身のコーディネートを揃えた。
懐は寂しくなったけど、とりあえずデートの資金さえあればいい。
そんな感じで、私の心は晴れ晴れだった。
それを、佐助君に手伝ってもらい、秀吉さんは着替えて……
私は隣の部屋で、自分の支度を整える。
(な、なんか、緊張するなぁ……)
化粧をしながら、秀吉さんが着替えてる部屋をチラチラ見てしまう。
逢瀬なんて、何度となくしてきた私達だったけど、今日は『クリスマスデート』なのだ。
なんだか特別な気がして……
いつもより綺麗で居ようと張り切ってしまう。
「よし、こんな感じかな」
今日は、お出かけ用の花柄のワンピースに、赤いカーディガンを羽織り、普段は着ない白のダッフルコートにした。
個人的に冬に白を着るのは、清楚で可愛いかなと思う。
髪もゆるゆるに巻いて、ファーが付いたヘアピン。
華奢なネックレスも付けて……
私なりに『デートのコーディネート』にして、それなりに頑張ったつもりだ。
「美依さん、秀吉さんの支度が終わったよ」
その時、タイミング良くドアの向こうから佐助君の声が掛かった。
私は待ってましたとばかりに、秀吉さんの様子見に行く。
「秀吉さん、どう……?」
(……っっ!!)
秀吉さんが居る部屋の扉を開けた瞬間。
私はその姿が目に飛び込み、思わず言葉を失った。
私が見立てた服を着ている秀吉さん。
濃いカーキ色のチェスターコート。
中には、薄手の白いVネックのセーターを着て。
それに、細身の黒のパンツスタイル。
それは、背の高い秀吉さんに、とてつもなく似合っていた。
(うわぁ〜、うわぁ〜…っっ!)
着物や袴姿でない、タイトな格好の秀吉さんは、それこそどこかのモデルと勘違いするほど格好いい。
髪も綺麗に整えられていて、男の色気みたいなものがあるし。
思わず絶句して舐めるように上から下まで見ていると、秀吉さんは呆れたように苦笑してこっちを見た。