〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第11章 俺の恋人は藍玉の天使《前編》❀豊臣秀吉❀
────聖夜には奇跡も起きる
今、こうしてお前と愛し合っているのは運命だ。
時を駆けて、巡り合って、そして
想いが通じ合い、交わり合う運命。
「ぁっ…秀吉、さんっ……!」
儚く蕩ける美依を熱で貫いて。
想いを注いで、抱き合って眠って。
俺はこいつを一生離さないと決めた。
愛してるよ、美依。
世界で一番、誰よりも。
だから、ずっとずっと、傍に居てくれ。
俺だけの小さな天使。
想いの『証』を今、お前に贈るから──……
「……明日はクリスマスだなぁ」
私が思わずぽつりとそう漏らすと。
私を抱き締めている秀吉さんは、不思議そうな表情で私を見つめた。
ここは、秀吉さんの御殿。
さっきまで、秀吉さんにとろとろに蕩けるほど、愛してもらっていた。
今はこうして心地よく気怠い身体を、抱き締めてもらっていて……
幸せすぎる瞬間を噛み締めながら、私は秀吉さんの腕の中に居た。
そんな中で、ふと思った。
明日は十二月二十五日、クリスマスだと言う事を。
「くりすますって、なんだ?」
秀吉さんが覆いかぶさるようにして、その濃い琥珀のような瞳を向けてくる。
私は思わず、くすっと笑い……
頬に指を伸ばして撫でるようにしながら、説明した。
「元々はキリスト教の神様が生まれたのをお祝いする日なんだけど、私の居た世界では、そんなの関係無しに、友達と集まって騒いだり、恋人同士で逢瀬したり……一年のちょっとした行事だったんだよ」
「へぇ、祝い事か。楽しい行事なんだろうな」
「なんかね、ふと思っちゃった。私の居た世界に秀吉さんが居て、一緒にクリスマスを過ごしたとしたら…どんな楽しい一日だったかなって」
────たまに考える時がある
私が戦国時代ではなく、現代で秀吉さんと出会って。
そして武将でもなく、普通の恋人同士だったら……
どんな風な二人だったかなって。
戦なんて無い。
戦に行って、死ぬ事を考えなくてよい。
二人の未来だけを一緒に考えて……
まぁ、考えるだけ無駄なのだけど。
私は戦国時代で、秀吉さんと生きていこうと決めた。
明日には何があるか解らなくても…
儚い一日一日を、大切に過ごそうって。
私はもう、決めたから。