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〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀

第94章 花盗人と籠の白百合《中編》❀伊達政宗❀








「────それだけ、お前を好きって事だ」









「────…………!」



目を見開いた美依は……
すぐさまくしゃっと顔を歪ませ、俺の首に腕を回して、自分の方に引き寄せた。

触れ合う二つの熱い躰。
途端に熱量を上げ、焦げるほどに昂っていく。




「私も、私も……」

「美依……」

「政宗が、すきだよ……!」

「……奪って、いいか?」

「うんっ……」

「…っ美依………!」












そうして、想いも重なって。
俺達は本能のままに、結び合った。

怖がって痛がる美依を優しく癒しながら…

もう、離れたくないと、
二度と離れないようにと、
固く手を握りあって、溶け合っていく。






(────離したくねぇ、でも)






今宵が終われば、また……
美依はあの鳥籠に戻るのだ。

そして夢見ることは、二度としないのだろう。

このまま連れ去ってしまいたい。
それが出来たら、どれほど良いか。

でも──……
俺は今『泥棒』だ。
信長の……敵だ。

それをするには、少しばかり代償が大きすぎる。

それにもしかしたら。
美依は籠の鳥でいた方が幸せかもしれない。
俺と危険な茨の道を進むより、
何不自由なく生きていった方が──……





狭い、古びた部屋の中。
それを満たす桃色の空気は、酷く濃密だったけれど。

俺達の秘蜜の契りは、今宵だけだと。
それが暗黙の了解のように……
離れがたく、何度も何度も交じり合った。

『愛してる』は言えなかった。
それでも……愛してるぞ、美依。

切れそうな感情と、止まらない恋慕。
複雑に交差して、螺旋を描きながら、蜜夜は過ぎていく。

鮮やかに染まる刹那を、
しっかり目に焼きつけながら──……













花盗人と籠の白百合《後編》へ
続く──……

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