〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第90章 菫色の指切り-貴方が教える×××-《後編》❀石田三成❀
『三成君は本に没頭すると寝なくなっちゃうんだから…夜はちゃんと寝なきゃだめ』
『そう言われましても…』
『そうだ、指切りで約束しよう!この約束の仕方はね、小指を絡めて…それを破ったらお仕置きなんだよ』
『それは随分過激な約束方法ですね、まぁ…仕方がありません、貴女が言うなら』
『指切りげんまん、嘘ついたら…ふふっ』
いつしか貴女とした、小指を絡めた約束。
『破ったらお仕置きだよ』と言った貴女は…
案の定約束を破った私に、人参料理を食べさせた。
その時は酷いなぁと思ったけれど。
約束をきちんと守っていれば、お仕置きを受けることもなかった訳で。
それに…私を思っての約束だったから。
その思いを踏みにじったのだから、手厳しい事をされるのは当然なのだ。
だから、貴女もですよ、美依様。
約束を、破りましたね?
私は逃げるか助けを呼べと言ったのに。
秀吉様は言っていた。
襲われ怪我はしたが、性的暴行は受けていない。
寸手で、秀吉様自身が助けたのだと。
怪我はもちろん心配だ。
でも…そうなった原因は美依様自身にもある。
────私は優しい男じゃないから
このまま貴女を放っとけないのですよ?
*****
「三成君……!」
私が美依様の部屋を訪れてみると。
褥に横になっていた美依様が、半身を起こして、びっくりしたように私を見上げた。
ちらっと目に入ったのは、首と手首に巻かれた包帯。
その姿に、チクっと胸が少しだけ痛んだ。
私は美依様の褥の横に腰を下ろし。
笑みも浮かべず、美依様に話しかけた。
「秀吉様に聞きました。男に襲われたと」
「うん……」
「以前絡んできた、あの男達と聞きましたが…怪我は大丈夫ですか?」
「押さえつけられた時に、手首とか足首とかちょっと怪我しちゃっただけで、そんなには酷くないよ」
「そう、ですか…なら良かった」
美依様の言葉に、少し胸を撫で下ろす。
怪我が軽く済んだのも、秀吉様が助けてくださったお陰だ。
しかし…もし助けが来なかったら?
私は一呼吸置くと…
美依様に、少し厳しい口調で問いかけた。