〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第85章 純愛イノセンス《中編》❀徳川家康❀
「美依……」
「な、なに……?」
「明日、出かけようか」
「え?」
「俺に言葉をくれたご褒美に。遠乗りでもして…一緒に過ごそうよ」
「う、うん、いいよ……」
胸に顔をうずめる美依は、消え入りそうな小さな声で答えた。
小さく、温かな温もり。
未来に可能性を秘めた…
小さくも大きな存在。
────最初に美依に惹かれたのも
そんなきっかけだったと、思い出したよ
俺達はそのまま抱き締めあったまま、その夜を過ごした。
何があった訳でもない。
ただ、温もりを分け合っていただけで。
それでも──……
これまでとは違う空気が流れていた事。
それは、お互いに感じた事のように思えた。
美依が幼くなってから、明日で三日目。
一体この先がどうなるかは、解らない。
美依は元に戻るのか。
でも俺は、少しだけ理解したよ。
美依が幼くなった意味を。
壊れそうな温もりを抱き締めて。
眠った夜は、とても穏やかだった。
俺に差した、一筋の光。
幼いあんたがくれた言葉は…
どんなものより純粋で尊く、
確かに俺の心に刻まれたのだった。
純愛イノセンス〖後編〗に続く──……