〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第84章 純愛イノセンス《前編》❀徳川家康❀
美依は本当に可愛い。
だから俺と出会う前も、誰かと恋をしてきたに違いない。
初恋も然り。
誰かを想って、胸を痛めたに違いない。
でも……
それってなんか妬けてしまう。
俺が美依の最初の男で、最後の男ならいいのに。
美依が想うのは、俺でありたい。
俺だけ、最初から俺だけであってほしい。
────美依の初恋から、ずっと
俺だけを想っていてくれたらいいのに
(……っ、どれだけ美依が好きなんだよ)
考えが横に逸れようが、美依を溺愛してる事実は変わらないようだ。
こんなだから、子供なんてまだ無理だ。
美依と同等、むしろそれ以上に愛するなんて…
今の俺には絶対無理のような気がする。
だから…ごめん、美依。
もう一度心の中で謝って目を閉じる。
うつらうつらと微睡みながら…
そんな思いで身体を重ねるなんて、矛盾してるなと。
少し情けなくなりながら、眠りに落ちた。
今日は七夕で、もし願い事をするなら…
『俺と美依の子供が見たい』よりも『美依のたった一人の男になりたい』だなんて。
そんな自分勝手な想いを抱えて…
その星の瞬く夜は過ぎていった。
*****
────貴方は彼女に何を求める?
俺は…
あの子と幸せになれればいい
一緒に無敵になると約束をした
平和な世界を見るまで
────彼女に想われる自信がないの?
そう、なのかな
たまに何故あの子は俺を選んだのか
すごく不安になるんだ
あの子は俺の光だから
────なら、その目で確かめなさい
どれだけ、貴方が彼女に愛されているか
彼女だけが『光』ではない、
貴方も彼女の『光』である事を
猶予は三日間
貴方達は惹かれ合うべくして惹かれ合った
唯一の存在である事を
その身で実感するのです──……
ああ、なんか星が綺麗だな
その光に包まれて……
帰ってこられなくなりそう
でも、もう朝だ
起きなきゃ、そろそろ
そしてあの子に謝らなきゃ
起きなきゃ、あの子が待ってる。