〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第83章 琥珀に滲んだ秘密の想い《後編》❀明智光秀❀
「随分窮屈だな、この着物は」
「我慢してください。袴じゃ目立っちゃいますよ?」
「別に俺は気にしないがな…まぁ好きにしろ」
私に身支度を整えられながら、光秀さんが呆れたように笑う。
私は次第に仕上がっていく『現代の光秀さん』の姿を見ながら…
内心わくわくして、心臓をドキドキさせた。
次の日、私達は外に出かけるための準備をしていた。
光秀さんが『昔の事が解る書物が置いてある場所はないのか』と言うので、図書館がありますよと言うと…
そこに行ってみたいと、光秀さんは意味深に笑った。
そんな訳で、私は朝から男物の洋服屋さんに走り、光秀さんが着る洋服を調達して…
そして今、光秀さんに着せている真っ最中だ。
さすがに袴姿じゃ目立ちすぎるし。
それでなくても光秀さんは、綺麗な顔で背も高いから、すごく目立ってしまいそうだけど。
ただワームホールが開くのを待っていても仕方ない。
なら、こちらでしか出来ない事をやろう。
光秀さんがそう言うから…
私達はこっちの世界でしか出来ない、デートをする事になったのだ。
「はい、光秀さん。出来ましたよ」
私が仕上げに襟を整え、笑顔を向けると。
光秀さんも襟に手を添え、軽く直すような仕草をしてみせた。
(うわっ…どうしよう、カッコイイ…!)
その格好を見て、惚れ惚れとしてしまう。
白と青のストライプのシャツに、黒い細身のパンツ。
それに、ベージュの細身のトレンチコート。
それらは背の高い光秀さんに、とても良く似合っていて…
どこかのモデルと勘違いしそうな。
そんなオシャレな雰囲気を醸し出し、まるで現代人そのものに見えた。
「どうだ、似合うか?」
「……っはい!」
「そうか、良かった。お前も……」
「え?」
「その格好、とても可愛らしいぞ」
熱っぽい視線を向けられ、つい赤くなってしまう。
光秀さんに釣り合うようにと、なるべく大人っぽい洋服を選んで着てみた。
マキシ丈の花柄ワンピースとデニムジャケット。
髪も、大人っぽくアップに結って……
だから、褒められた事がすごく嬉しい。
こんなカッコイイ人の隣を歩くんだもん。
恥じない私で居たいよね?