〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第82章 琥珀に滲んだ秘密の想い《前編》❀明智光秀❀
────でもね
私はこの愛する人の懐の大きさに
改めて驚く事になる
いつも、何を考えてるか解らない光秀さん。
その心はいつも、秘密ばかりで…
だから、私はこの時は気づけなかったんだ。
光秀さんがどれほど私を愛してくれていて、
全てを大切に思っていてくれてた事に。
「ところで、今はまだ夜なのか?」
「あ、窓の外は暗いですね!夜かもです」
「なら、とりあえず休むか」
「はい、そうしましょう」
「明日…向こうでは俺達が居ないと騒ぎになるかもな」
「そうですね……」
窓の外は、暗い闇。
でも、貴方という希望があるから大丈夫。
私達は…きっと一緒になれる。
あの、慣れ親しんだ世界で。
仲間達に祝福されて…
私達は、夫婦になるんだ。
その日、私達は狭いシングルベッドで身を寄せあい、抱き締め合って眠りに落ちた。
光秀さんは少し起きてたみたいだけど…
私を見おろす眼差しが、とても優しくて。
私はまた安心して、すぐに眠ってしまった。
何故、こんな事になったのかは解らない。
でも──……
『望み、叶えてあげましょう』
あの声は誰だったのかな。
あれは…どういう意味だったのかな。
私は、現代に帰りたいなんて望んでいなかったのに…
その答えを知るのは、また少し先。
私の想像を遥かに越えた…
優しい優しい、その答えに。
《琥珀に滲んだ秘密の想い〖前編〗》終
《琥珀に滲んだ秘密の想い〖後編〗》に続く