〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第82章 琥珀に滲んだ秘密の想い《前編》❀明智光秀❀
────ようやく、貴方と結ばれる
この日をどんなに待ち侘びただろう。
たくさん苦難もあった、
すれ違いも…たくさんあった。
そんな貴方と正式に結ばれるのは、明日。
みんなから祝福されて…祝言を挙げる。
でも、まさかね。
『あんな事』が起きて、貴方がまさか
『そんな事』を考えていたなんて…
私はちっとも解らなかった。
心の底は、全然明かさない貴方。
それでも…
私を本当に愛してくれているんだと。
ねぇ、光秀さん?
私達が結ばれるのは、明日。
その前にちょっとした事件が起きる。
そんな慌ただしい、結婚前夜のお話。
*****
「わぁ…鳴ってきたな、雷」
庭の縁側から空を見上げる。
真っ暗な空からは大粒の雨が降り注ぎ、遠くで鳴る雷鳴を聞きながら…
私は明日の事を案じ、小さくため息をついた。
────明日、私は祝言を挙げる
愛しいあの人と、やっと正式に結ばれるのだ
(あ……)
その時、廊下の奥から足音が聞こえ、そちらに振り向くと。
明日、共に同じ道を歩み出す、その愛しい人がこちらに向かってゆっくり歩いてくるのが解った。
途端に、私の心が大きく弾む。
今日忙しくて、全然会えなかったから。
私は頬が緩むのを抑えられず、思わず小走りで大好きな人の元に駆け寄った。
「光秀さんっ!」
「どうした、美依。まるで犬っころのようだぞ」
「むっ…そーゆー事言わないでください!今日全然会えなかったから…寂しかったんですよ?」
「そうか、悪かった。明日までに全て仕事を片付けねばならなかったからな…これからの時間は、もうゆっくり出来るぞ」
そう言って、光秀さんは私の頭を優しく撫でる。
ようやくこの人と結ばれるんだな。
そう思ったら、嵐の夜空なんて全然気にならなくなってしまったから、不思議だ。
私は明日、光秀さんと祝言を挙げる。
ここまで長い道のりだった。
本心の読めないこの人と…想いを通わせるまで、本当に色々な事があった。
でも、そんなのは関係ない。
私は光秀さんが好きで、光秀さんも私が好き。
それだけで…
辛かった道のりも、今では全て私の中での愛しい宝物だ。