第18章 ハピファミ!18
じっ…と、こちらを真っ直ぐに見てくるまゆらちゃんの瞳。
強くて、澄んでいて、とても綺麗な。
なんだか全てを見透かされそうで、こんな風に見つめられると少しだけ怖くもある。
「…ほんとに?」
「え?」
「わたるちゃん、バイト先の話をする時に…いつも最後は『だから来ないほうがいいですよ』って感じの言葉で終わってたから。私には、来てほしくないんだなって…ずっとそう思ってた」
「あ、ああ゛ー…………すみません」
確かに、そう思ってました。
はっきり来るなと言った覚えはないけれど、明らかに害悪な虫になりそうなうづさんとは絶対に合わせたくない。
そんな思いが無意識に、言葉の端々から出ていたのかもしれない。
…でも、それももう終わりだ。
ワタシが、まゆらちゃんとうづさんとの出会いを邪魔する理由は、悲しいことに無くなってしまった。
いや、むしろ。
まゆらちゃんとうづさんを会わせる必要性が出来てしまった。幸せな未来のために。
これから先、ワタシがどこでどう生きていくかを決める為にも。
「本当に、私が行っても大丈夫?」
「はい、もう大丈夫です。むしろ、まゆらちゃんには来て欲しいです」
「…そっか……よかった」
嬉しそうに目を細めるまゆらちゃんに、ほんの少し申し訳ない気持ちになる。
まゆらちゃんを守る為だなんて意気込んで、気づかないうちに寂しい思いをさせていたなんて…勘違いも甚だしい。恥ずかしい。
ごめんなさい、まゆらちゃん。
「明日は、バイト仲間も紹介しますね」
「うん…あ、女の子が一人いるってキワコから聞いてるよ」
「え、キワコさんから?…そういえばエナさん、まゆらちゃんの話をしたら物凄く食いついてきてましたね…」
「そうなんだ。双子だから見てみたかったのかな?」
「さぁ…どうですかね、アハハ…」
絶対に違う。
違う意味でまゆらちゃんに会いたがっている気がする。エナさんは積極的な同性愛者だから。