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【ハッピー・ファミリー】ハピファミ!

第1章 ハピファミ!1


【幼少期1】□マーブルチョコは混乱の味■



私には「まゆら」という名の、双子の片割れがいる。

「まゆら」はとっても可愛い、いわゆる美少女ってヤツだ。
ちなみに一卵性双生児なので、私も「まゆら」ソックリで可愛い。
自分で自分のことを可愛いというのも変な感じがするが、私はただ客観的に見た事実を述べているだけ。
鏡を見て(すごい、「まゆら」とソックリ、美少女……!)そう思っただけ。

「まゆら」はとっても可愛い。

「まゆら」の可愛さは決して、見た目だけにとどまることはなく。
素直に感情をあらわし、にこにこと無邪気な笑顔を惜しげもなく振りまくその姿は、10人中8人位は確実に「カワイイ」と思うだろう。

そんな愛すべき「まゆら」を、もちろん両親は溺愛していた。

外見だけは「まゆら」とソックリ同じな私。でも中身は違った。
似ている似ていない以前の問題がそこにはあって、その問題ゆえに私は、家族の中でも少々浮いていた。
浮いている……とはいっても、両親や周りの人たちはただ「まゆら」より大人しくて人見知りなだけ、だと思っていたようだけれど。
都合の良いことに。

そう。

勘違いしてくれたことは私にとって都合がよく、ありがたいものだった。
何故なら私は、産まれてからずっとずっと、混乱しっぱなしだったから。

混乱の原因。
まゆらとの根本的な違い。
解決できない問題。

私には「夢名字夢名前」という女性が生きてきた、20年近くの記憶があった。

その記憶はいったいなんなのか、「夢名前」という女性は誰なのか。
私は今現在の自分の存在や状況を、できうる限りで調べ観察した。
だけど理解認識すればするほど、それは20年間もある記憶と混在していき、マーブル状に渦巻いていく情報たちに目が回るようだった。
じっさい気分が悪くなって吐いたこともある。

精神的な疲れからか、微熱を毎日のように出しては心配され。
ようやく「夢名字夢名前」の約20年を、自分の前世の記憶だと折り合いをつけて無理やり納得した5歳の頃には、すっかり病弱のレッテルが貼られてしまっていた。
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