第11章 猛風
「木兎さん、そろそろ練習始まりますよ。」
赤葦が体育館への移動を促すが、ハッキリ言ってそれどころじゃない。
「ダメ。和奏から返信ないとパワー出ない。赤葦、和奏に『木兎さん、好き』って言わせて来て。」
「言わせるだけでいいんですか?」
「嘘だよ!んな、ダサい事するかよ!!」
でも、この手の届くところにあるのに自分の物じゃない感じが…もどかし過ぎて、アーってなる。
ブッ
今度こそ和奏だろ!
手元でなる携帯を速攻で確認する。
[皐月 和奏]
マジか。
「来たー!」
「木兎さんのモチベーションの下がる内容じゃなければいいんですけど。」
赤葦の奴が当然のように携帯を覗き込みながら、そう言ってくる。
何だよ!モチベーションの下がる内容って!
やっぱり無理です。とか?
気持ち悪いです。とこ?
うわ…そんなん来てたら、マジでもう終わりだろ。。。
赤葦の余計な一言のせいで、メッセージを開く手が少し汗ばんでいる。
[木兎さん…助けてください。]
来た!
来たコレ!
誰だよ!
モチベーション下がる内容とか言った奴!
赤葦だよ!
「惚れてる奴からこんなこと言われて、上がらない男いないだろ!」
赤葦に携帯画面をんっ!と見せびらかしてから、速攻で返信を打つ。
俺の方に流れが来てる気がする。