第11章 猛風
「なーんで返信来てないんだよー。」
普段は寝起きが悪い方だけど、今日ばっかりは昨晩返ってこなかった和奏からの返信が楽しみで、スッキリと目が覚めた。
「木兎さん、おはようございます。」
「赤葦ー!何で返信が来ねぇんだよー!」
隣で布団を畳んでいる赤葦がこちらをチラッと見る。
「返信する気がないからでは?」
あー、赤葦に聞いた俺が馬鹿だった!
何の参考にもならないどころか、軽く凹んだ。
くそー。
昨日の和奏の様子だと、メッセージくらいは返してくれるだろうと踏んでいたのに…。
「やっぱり手強い…けど、燃える!」
「木兎さん、早く行かないと朝食の時間ですよ。」
「おー、待てよ。行く行く!」
何たって、朝食に行けば、腹が満たされるだけじゃなく、可愛い和奏の顔も見られる!
顔を洗えだ、歯を磨けだと、母親のように言う赤葦を黙らせて食堂へ向かう。
俺の和奏は…居た!
けど、向こうはこっちに全く気付いてない。
それどころか、視線の先を辿るとツッキーが立って居たりしたら、流石の俺も面白くない。
昨日、あんなに引き寄せたと思ったのに、結局和奏は一晩かけてツッキーの事を考えていたのか…。
そもそも、俺のメッセージ届いてんの!?
この番号、他の人のじゃないよね!?
[なーに、朝からツッキーと見つめあってんの?妬けるんだけどー。ってか、メッセージ返してよ。]
素早くメッセージを打って、送信すると和奏が携帯を確認した後にこちらを見る。
あっ、やっとこっち見た!
嬉しい気持ちは半分で、残りの半分はやっぱりメッセージ届いてんじゃねぇか。何で返信ないんだよ…。って落胆になる。