第10章 帆風
「うそ?もしかして、気付いてなかったの?」
「うん…。」
ヤキモチ…どころか、蛍が私の事を好きだという気持ちに気付いたのだって、ついこの前の話だ。
「そっか。でもさ、ツッキーにとっては…もうそれが当たり前の習慣みたいなものなんだよ。だから、仮にも元カレだった影山が皐月さんと2人で居るのなんて見たら、妬かないはずがないんだよ。」
私は…信頼されてないんだと思ってた。
蛍は私が浮気をすると疑っているんだと。
「あと…皐月さんが心配してるって言うツッキーへの告白の事なんだけど…。あっ、ごめん!皐月さんが心配してるって、俺が無理矢理、谷地さんから聞き出したんだ…。」
「ううん…。それは大丈夫だけど…。」
それから、山口君が語ってくれた話は、私には衝撃的なものだった。
蛍の冷たい対応に腹を立てた女の子達が、私に嫌がらせをしようとしていた事。
蛍がギリギリで気付いて阻止してくれた事。
今後、蛍の対応の悪さで、私に何か危害が加わらないようにと、本当は嫌でしょうがないけど、告白にいちいち対応している事。
心配を掛けるから、私には知られたくないと言っていた事。
それを私は身勝手なヤキモチを妬いた上に、悪趣味だとまで言ってしまった…。
蛍の気持ちを思うと、涙が溢れて来た。