第9章 波風
「ちょっと…落ち着いた?」
「はい…。本当にすいません。」
僕は…何で和奏を1人で泣かせて、別の女の子を慰めてるんだろう…。
何だか、先程までのイライラを上回るほど馬鹿らしい気分になってきた。
「いや、泣き止んでくれればいいんだけどさ。」
泣き止んでくれたら、とっとと中に戻れるんだけど?
「あの…和奏ちゃんの事。ですが…一昨日…合宿行く前、和奏ちゃんから一緒に行こうって連絡があったんです。」
谷地さんが話し出した時は、面倒だから話をやめさせて中に戻ろうと思ったんだけど…。
「私、母と用事があって、そのまま学校へ送ってもらう事になっていて…和奏ちゃんが1人なら、母と一緒に迎えに行くと提案しました。」
その話の続きには興味がある。
和奏が嘘をついてまで、王様と会った理由だ。
「それで?」
「和奏ちゃんは、それなら月島君が迎えにきてくれるから大丈夫だと。」
「でも、僕には連絡がなかった。」
泣き止んだ谷地さんが、がばっと顔を上げた。
「違うんです!きっと…その後、私が余計なメッセージを…。」
何が言いたいのか、進まない話に少しイライラしてくる。
「余計なメッセージって?」