第7章 青嵐
「僕も…話さないといけないと思ってた。」
私の不安な気持ちを蛍の言葉が優しく溶かして行く。
「あのね…蛍は影山君の事を心配してるのかもしれないけど…影山君とは何もないの!」
「何も?」
「そう!何も。ただの選手とマネージャーだよ。だから、心配しないで欲しい。それにね…私もきっと余計な心配してて…蛍が他の女の子に告白されてるのが…心配で…。断ってるのは知ってるんだけどね…。」
ふーん。と言った様子で考え込んでいる蛍を見て言葉を促す。
「断ってるのは知ってて…何が心配だったの?」
「それ…は、蛍が他の女の子達に優しくしてるって…。」
「それが嫌なら僕に言えばいいのに。」
今度は間髪入れずに帰ってくる言葉に、私がヤキモチを妬いていた事実を既に蛍が知っていた事がわかる。
知っていたのに…なんで?
「だって…そんな事でいちいちヤキモチ妬いてるって思われたくなかった。」
「ヤキモチ妬かれる事と、和奏が王様に相談する事…僕がどっちが嫌か…考えなくてもわかるでしょ?」
確かに…蛍の言う通りだろう。
考えもしなかったけど…当たり前の事だ。
予想外の蛍の言葉に返事を出来ずにいると、蛍が強い口調で続ける。
「だいたい…僕が他の女の子に優しくした?だから何?告白を断ってたのは、和奏だって知ってたんでしょ?僕は他の女の子をフッてるだけで責められてさ…。和奏自身は周りの男達にニコニコして…無自覚なのもいい加減にしなよ。」