第6章 寒風
文章力の無さに文句言ってやろうかと思ったけど、話が長くなるだけなのでやめた。
「それ、完全に僕のセリフなんだけど?和奏が僕の彼女だってちゃんと理解してる?」
どういうつもりで和奏に手を出してるのさ?
なるべく冷静に…とは思うけど、言葉の端々にイライラした感情がこもってしまう。
「だから…だよ。お前、皐月の彼氏ならどういうつもりで他の女子に優しくしてんだよ?」
は?
何の話してるの?
王様の頭が悪すぎるのか、言いたい事が半分も伝わって来ない。
「何でそんな事をわざわざ王様にお説教されなきゃいけないの?」
「皐月が悲しんでるからだろ!」
何となく…話が見えて来た気がする。
「つまり、僕が他の女子に優しくして、和奏が悲しんでるのを王様が優しく慰めたって話?」
優しくしたって何だよ…。
どんだけ尾ひれが付いてるの?
フッてただけなんだけど。
「皐月が泣いてた。それ以上にお前にとって大切なものってあんのかよ?」
何で他の女子なんて…とでも言いたげに吐き捨てる王様。
「事情も知らないくせに勝手な事言わないでよね。」
僕だって、和奏以外の女子なんて、心底どうでもいい。
「お前の事情なんて知るか!これ以上和奏が悲しむようなら、俺だって黙ってないからな!」
最後まで勝手な事を言って、その場を去っていく王様を無言で見送った。