第6章 寒風
そもそも…和奏が悲しんでた…?
泣くほど??
そもそも告白の呼び出しだって、極力和奏の目に触れぬように気を使って来たのに…。
そんな事、考えても無駄か。
噂話を100%防ぐ手立てなんてないのだから。
しかも優しくしてた…って相当な尾ひれがついた話になってるらしい。
それよりも、和奏が気にしていたという事実。
僕には何も言って来なかった。
だからこそ、僕も和奏には気付かれずにやれていると思ってたんだ。
わざわざ伝える必要はないと…。
余計な心配を掛けたくないと…。
はっと、先程までの和奏との行為を思い出す。
僕…最悪だ。
和奏は僕が他の女子と会ってるのを気にして…まだそこは納得出来ないけど、王様に泣きついたと言うのに…その和奏にヤキモチを妬いて酷い事をした…。
和奏は許してくれるだろうか。
和奏以外の女の子なんて、どうでもいいと。
和奏の為に煩わしさを耐えていたのだと伝えれば、またこちらを向いてくれるだろうか。
とてもじゃないけど、ボールを追いかける気分になれず、その日はそのまま男子部屋に戻った。
和奏とも、もちろん王様とも一言も話す事がないまま夜が更けていった。