第6章 寒風
「おい、月島。」
第3体育館へ向かう途中で、声を掛けられる。
こいつに会いたくないから直接第3体育館へ向かってたのに…。
本当に間の悪さが嫌になる。
「王様が庶民に何の用?バレーの事なら練習中にしてよね。」
名指しで呼ばれて無視する訳にも行かず、歩みを止めて王様の方を振り返った、
「バレーの話じゃねぇよ。」
なら、尚更聞きたくないんだけど。
どうかわそうか考えているうちに、王様が次の言葉を繋ぐ。
「皐月の事だよ。ちょっと付き合え。」
こいつはいつも直球で僕の逃げ道を塞いでくる。
「僕たち、仲良く和奏の話をするような仲じゃないと思うけど。」
僕の言葉に王様が無言で睨みつけてくる。
何を言っても逃す気はないと顔に書いてある。
「わかったよ。」
そう短く伝え、先を歩く王様に続いて人気のないところへ移動する。
何の話かはだいたい想像がつくけど、考えるのも腹がたつ。
適当な所で立ち止まってこっちを振り向く王様。
まぁ、わざわざ人をこんな所まで引っ張って来たんだから、話くらい聞いてあげるよ。
和奏を譲ってあげることは絶対ないけど。
「月島…お前、どういうつもりだよ。」