第6章 寒風
「ねぇ。口に出してあげるから飲んでよ?飲むのは初めて?それとも他の男のを飲んだ事ある?」
和奏を内側から僕だけのものにしたい。
首を慌てて振る様子を見て、嫌がってるのだとは伝わって来るけど…嫌がられてやめるようなら、初めからこんな事していない。
「そぉ。初めてなんだ。じゃあ、僕の味しっかり覚えてよね。」
和奏の中に僕の自分勝手な欲を吐き出す。
ごめん。
そう謝って、今すぐ抱きしめてあげられたらいいのに…。
和奏に抗議の目を向けられると、僕の我儘な感情はより頑なになっていく。
「飲み込みなよ?」
僕に促されて、決意を決めたように喉を動かす和奏。
「うえぇ…。えほ…っ。えほ…っ。」
「あぁーあ。」
咳込んで、ほとんどこぼしてしまっている。
まぁ、別に本当に飲ませることが目的でもないし…。
じゃあ、僕は何でこんな事してるんだろう?
「ごめん…なさい。こぼして、ごめんなさい。」
和奏が必死に謝っている。
反省してくれればいいんだよ。
反省して、僕から離れようなんて思わないで居てくれれば。
そっか…。
僕は何処かで信じてるんだ。
和奏が僕のこのわかりずらい愛情表現に気付いてくれるって。
僕の気持ちに気付いたら、僕を見捨てて王様の所に行くはずないって。
「やっと、自分の立場がわかって来たみたいだね。おいで、和奏。頑張ったからご褒美をあげないとね。」
付き合う前と何も変わってない。
僕は和奏に甘えているんだ。
和奏、ごめんね。
一度出したとは自分でも信じられないくらいそそり立った自身を和奏の中に沈めた。