第6章 寒風
「ちが…。そういう意味じゃない!私は蛍とちゃんと話し合いたくて。」
和奏が今にも泣きそうな顔をしてこちらを見上げてくる。
話し合いって…なに?
別れ話なら聞いてあげるつもりないんだけど…。
「言い訳とか聞きたくないから。」
嘘だ。
本当は今すぐにでも言い訳をして欲しい。
あいつとは何も無くて、僕だけが好きだと。
でも、和奏はそんな嘘をうまくつけるタイプじゃないって知ってる。
だから…何も聞きたくない。
「いっ…。け…蛍。待って。」
部屋に和奏を押し込むと、勢いで尻餅をついた。
痛かったかも…と一瞬思ったけど…。
きっと、これからもっと傷付けるんだ…と思うと謝るのも滑稽で思いとどまった。
「和奏に拒否権とかないよ?ってかさ、これがお仕置きだって、ちゃんとわかってる?他の男なんて見えないくらい感じさせてあげるよ。」
和奏を跨いで、組み敷くと怯えた顔でこちらを見上げてくる。
その表情で確信する。
やっぱり、和奏は僕の事が嫌いになったんだろう。
「和奏、優しくされたいなら、もっとちゃんと自分で舌絡めなよ。このままじゃ怒りすぎて手加減出来ないんだけど。」
和奏にキスをするが、いつもなら積極的に絡められる舌も逃げ回るばかりだ。
和奏は本当に素直だね。
嘘でもいいから、媚びてよ。
愛されたいと伝えてよ。
「ん…んっ。」
和奏が僕から強要された愛情表現で僕を愛する。
本当に…馬鹿みたいだ。
手を服の中に進入させ、ブラジャーを上にズラすと乳首のみを指だ揉みつぶすように刺激してあげる。
和奏の好きな刺激だ。
「あっ…あぁ…。」
「ねぇ…休んでいいなんて言ってないよね?キス…続けなよ?」
気持ち良さにたまらずキスをやめてしまう和奏を可愛いと思うが、そんな事を考えてしまう自分を戒めるように和奏の乳首を力強く引っ張った。
「ひぃ…。…ごめんなさい。」
何に…謝ってるのか知らないけど…
許すつもりはないよ。
僕の事を捨てようなんて。