第5章 黒風
「言い訳とか聞きたくないから。」
先程より強引に腕を引かれて、あっという間に男子部屋に到着すると、蛍は押し倒すように私を中へ押し込んだ。
「いっ…。け…蛍。待って。」
勢いで尻餅をつく私。
まだ布団もひかれていない畳は少し固い。
「和奏に拒否権とかないよ?ってかさ、これがお仕置きだって、ちゃんとわかってる?他の男なんて見えないくらい感じさせてあげるよ。」
蛍が私を固い畳の上に倒して馬乗りになる。
なんで…こうなったの?
私が蛍にちゃんと言えなかったから?
気まずくて後回しにしたから?
蛍が喋ろうとする私の口を塞ぐ。
「和奏、優しくされたいなら、もっとちゃんと自分で舌絡めなよ。このままじゃ怒りすぎて手加減出来ないんだけど。」
蛍が相変わらず冷めた目でこちらを覗き込んだ。
蛍が手加減しないと言ったら、本当に壊れる程の快楽を与えられるんだろう。
それじゃ…話し合えない。
私の口腔内に進入して来ているけど、ほとんど動く気のない蛍の舌を必死に絡めとる。
クチャクチャと、私のせいで恥ずかしい水音が部屋に響いている。
「ん…んっ。」
突然胸に刺激を感じて、腰が浮くのを感じた。
「あっ…あぁ…。」
思わず蛍から口を離すと、恥ずかしい程露骨な声が漏れた。
「ねぇ…休んでいいなんて言ってないよね?キス…続けなよ?」
ギュッと胸の突起を痛いほど摘まれ、思わず謝ってしまう。
「ひぃ…。…ごめんなさい。」
すぐにキスを再開すると、蛍は満足したように突起を掴む力を弱めて、やわやわとした刺激へ切り替えた。