第4章 順風
付き合いますよ。とエプロンを外した皐月ちゃん。
エプロンのままの方がエロいって言おうとして、思い留まる。
こういう事ばっかり言ってるから、冗談だと思われるんだよ。
「あっち側の校舎の隅にさ、ひっそり自動販売機があって、超穴場なの。散歩がてらそこまで歩こう!」
皐月ちゃんは口数が少ないまま、コクリと首だけ動かして同意した。
2人で並んで歩くと言っても、皐月ちゃんは俺の数歩後ろ。
隣に並んではくれない。
俺の周りに居る勝手に手を繋いでくるような女子達とは違う。
まぁ、彼氏が居るからってのもあるんだろうけど…。
皐月ちゃんって、ツッキー相手にも数歩後ろを歩いてそう。
「なんで、彼氏相手にいつも遠慮してんの?」
皐月ちゃんがバッとこっちを睨んだのがわかる。
うん。いくら俺が素直ないい奴だからって、思ったことをそのまま口に出したゃダメだって…あぁ、普段から赤葦に注意されてんの少しでも気にしてれば良かったー!
「なんでそんな事言うんですか?」
ほら!皐月ちゃん、怒ってんじゃん!!
さっきまでの柔らかな雰囲気は何処かへ行ってしまった。
相談に乗ってあげるいい先輩作戦失敗。
でも…折角のチャンスだからちょっと強引に行ってみるか!