第4章 順風
「でも、ツッキーと皐月ちゃん、上手く行ってないんだろ?」
何が原因かわからないけど、俺が仕掛ける前に勝手に揺らいでくれてるじゃん。
ツッキーの腕の中で、何かを考え込む皐月ちゃんを見る。
「…どこが上手く行ってないって言うんですか…?」
え?バレてないつもりなの?
皐月ちゃんにそんな顔させるなんて…ツッキーもまだまだだな。
「まぁ、認めたくないなら、それでもいいけど。合宿終わるまでに皐月ちゃんの事、絶対俺の物にするから!」
合宿が終わる頃には結果が出ているだろう。
楽しくなってきた!
まだこちらを睨んでいるツッキーと、
難しい顔を皐月ちゃんをその場に残して、
鼻歌混じりに体育館へ向かう。
あースパイク打ちてぇー!
赤葦どこ行ったー?
「おい…あんまり虐めてやるなよ。」
「おー、黒尾君!いいところに!ブロック飛んでくれ!」
セッターを探していたのに、先にブロッカーを捕まえるなんて…まぁ、赤葦はそのうち捕まるだろうし、黒尾君の確保が最優先だな。
「話聞いてんのかよ…。そもそも、もうちょっとで合宿始まるんだから、スパイク練習なら自主練の時間にしてくれ。」
それより…と黒尾君がこちらを見る。
黒尾君はツッキーの味方だ。
何でだろ?
弟みたいでほっとけないとか?
「別に虐めてねぇよ!俺は本当の事を言っただけ。あの2人どう見たって、上手く行ってないだろ!」