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【ハイキュー!!】月夜に吹く風 R18

第3章 恒風


「影山くん、この事…泣いてた事も…誰にも言わないでね。」

昔も一度こんな約束をしたなぁ。
影山くんは覚えているだろうか。

「言うか。ボゲェ。」

あの時と同じ返答だった。

学校に着くと、既に蛍も仁花ちゃんも到着していて、
信じられないと言った顔で、私と影山くんを見ていた。

マズイ…とは思ったけど、
とっさに言い訳も思い浮かばないので、
蛍には近寄らずに潔子先輩の元へ向かう。

真っ青な顔した仁花ちゃんも寄ってきた。

「和奏ちゃ…ん。何で影山くんと…?つ…月島君が怒りで大変な事に…。」

蛍の近くで不機嫌オーラにあてられたのか、
喋り方もしどろもどろになっている。

「いや…影山くんはたまたま途中で会って…同じ目的地なのに、別々に来るのも変だから…」

そんな言い訳が蛍に通じるとは思っていない。

どうしようか…どう思っているうちに、キャプテンからバスに乗るように促される。

「和奏ちゃん、月島の隣に座ってもいいよ。」

潔子先輩がこちらを心配げに覗き込んでくる。
本当に…素晴らしい先輩だ。

「いえ…少し…私も頭を冷やしたいので。」

そう答える私にも、にっこりと微笑みかけてくれる。
ギュッと右手に温かさを感じて、そちらを向くと
仁花ちゃんが手を握ってこちらを覗き込んでる。

「和奏ちゃん…もしかして、私のせいでしょうか?私が余計な事に言ったせいで…。」

違うよ。そう伝えたいけど言葉が出ないから、仁花ちゃんの手をギュッと握り返した。

「和奏ちゃん…大丈夫です!私は経験値もないので…ろくなアドバイス出来ませんが、あんなに仲の良い和奏ちゃんと月島君が喧嘩するはずありません!」

何だか、色んな感情がごちゃっとなって、訳もわからず涙が溢れそうになった。

「ありがとう、仁花ちゃん」

バスに乗り込んで席に座っても、
仁花ちゃんはずっと手を繋いでてくれた。
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