第15章 花風

何日かぶりなのに、凄く懐かしく感じる。
和奏の柔らかくて甘い唇を堪能してるだけで、理性が無くなっていくのがわかる。

すぐにでも振り払ってくれないと、本当に最後まで襲っちゃいそうだ。

早く振り払って…僕の事なんて何とも思ってないって証明してよ。

「蛍…。け…い…。」

なのに…何、呼んでるんだよ。
なんで、僕のキスに必死に応えてくるんだよ。
まるで恋人同士みたいに…。

自分の中で理性が壊れる音が聞こえて…堪らず和奏を引き離した。

「なんでだよ！嫌なら振り払いなよ！なんで…僕のものじゃないんだよ…。なんで…木兎さんなの？お願いだよ…僕の隣に居てよ…。」

こちらを見上げた和奏の顔に涙が落ちる。
和奏の涙じゃない…僕の涙だ。

泣いてるところなんて和奏に見られたくなくて、もう一度和奏を胸に押し付けて抱きしめる。

こんなつもりじゃなかったのに。
僕はなんて事を口走ってるんだよ。
しかも、泣いてるとか…。

「蛍…ごめんなさい。傷付けてごめんなさい。」

和奏の手がゆっくりと背中に回った。

和奏の言葉と行動に、また勘違いしそうになる。