第15章 花風
勝手に喋って、勝手に寝るとか…本当になんなの?
俺の方が和奏の事大切に出来るって?
例え和奏が誰を好きでも、和奏を一番大切に思っているのは昔からずっと僕って決まっているのに。
本当に腹がたつ。
僕が敵わないと思った木兎さんに、余裕で勝てるような発言をされたことも…。
僕がどれだけ和奏の事を大切に思っているかなんて、何にもわかってないくせに。
もう一度寝てやろうと思ったけど、王様に言われたことを考えていると寝付けないまま、バスは進んでいく。
一度考えないように蓋をしていた和奏の事。
考え出すとキリがない。
そして、思い知らされるんだ。
僕がどれだけ和奏が好きか。
和奏の話を聞きたくない理由だって…、本当は別れたくないんだって縋り付いてしまうのが怖いから。
和奏が僕の元に戻ってきてくれるなら、なんだって出来るのに…。
和奏の笑顔が、手の温もりが、電話越しの声が、拗ねた様子が、僕を呼ぶ声が、凄くリアルに思い出せて涙が出そうになる。
ついこの前まで当たり前のようにここにあった物が、両手の隙間から滑り落ちて少しづつ無くなっていくみたいな…。
あぁ…どうしようもないくらい和奏が好きだ。
結局、そんなシンプルな結論にたどり着いた時に、バスが学校に到着した。