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【ハイキュー!!】月夜に吹く風 R18

第15章 花風


荷物を席の上の棚に押し込んで、窓際の席に座る。
早く帰りたいのに…まだ外で騒いでいるのだろうか。

和奏はあの後、パタパタとバスから降りて行ってしまった。
きっと清水先輩や谷地さんと一緒に戻って来るだろう。

少し目を瞑ると、この数日の寝不足からか、すっと意識が遠のくのを感じる。
バスが動けば、どうせ寝るつもりだったんだから、別に今頑張って起きている必要もないだろう。

眠気の波に意識をさらわれた。


どれくらい眠っていただろうか。
バスの振動で目を覚ませば、照明は落とされ、車内はシーンと静まり返っている。

ふと横の席に目を向ける。

は…?

当然、山口が座ってると思っていたから、思わず声を上げそうになった。

「なんで…王様が隣に座ってるのさ。」

しかも…何で起きてるんだよ…。

「お前に話があったからだろ。」

隣に座った王様が、前を見たまま答えた。

「いつも言ってるけど、僕は話す事なんて無いんだけど…。」

話があったからって、寝てる間に横に座るなんて…やっぱり変人の考えは理解出来ない。
山口もなに譲ってるんだよ。
学校に着いたら、文句言ってやらないと…。

「お前…何でここ数日、皐月の事を避けてるんだよ?」

視線だけは前をじっと見つめたまま、こちらに話し掛けてくる王様。

本当に…なに?
このシチュエーション。
夢のつづきなら、どれだけ良かったか。

答えずにいるとずっと続く無言に、残念ながら夢じゃない事がわかってしまう。

隣に座られていると、学校に着くまでずっと無視してる訳にもいかないだろう。
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