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【ハイキュー!!】月夜に吹く風 R18

第15章 花風


「あの…蛍…。」

バスの奥から和奏がととっとこちらに近付いてきた。

外にいないと思ったら…ここに居たんだね。

「何?僕、後ろの方に座りたいから、そこ通して欲しいんだけど。」

あの…あの…と動く様子のない和奏に、思わずため息が漏れる。

「あの…帰りのバス、隣に座っていいかな?」

…は?

「嫌に決まってるけど。」

何のつもりだろう…。
同情でもしてるんだろうか。

「あの…そうだよね。ごめんなさい。」

見るからにしゅんとして道を譲ってくれる和奏。

そんな様子も可愛いとか…本当に酷いよね。

和奏と木兎さんの事を知った時、
この世の終わりみたいな気がした。
ただ、絶望があっただけだった。

でも、1日経っても、2日経っても別にこの世が終わる事はなくて…合宿は当たり前のように続いてて…。

あぁ、現実なのか。
3日目に改めてそんな当たり前の事に気付いた。

不思議と和奏の裏切りに対する怒りは一度だって湧いてこなくて、僕のせいだったんだって結論にしか辿り着けない。

考えれば考えるほど、和奏の事を好きな自分が居て…。
そして、考えるのもやめる事にした。

和奏が何か話し掛けたそうにしていたのは、もちろん気付いているけど…何を話す気かとか…何を考えているのかとか…そう言うことは考えない事にした。

一人で期待してしまう自分が、酷く惨めだから。

だから、今更そんな顔して僕の前に立たないでよ。
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