第2章 軽風
その時の女の子達が和奏に何かする事はなかった。
僕がトラウマになるんじゃないかと言うくらい言い聞かせて置いた。
和奏に何かしたら、どんな目に合うかを。
和奏が何も気付いてないのは不幸中の幸いだ。
でも、もし僕が気付く前に和奏に何かあったら…。
例え、相手が泣くほど後悔するハメになっても意味がない。
和奏が傷付いたという事実が残るだけだ。
そんな事…絶対に許されない。
それから、女の子に対する自分の態度を改めた。
僕が面倒くさがったせいで、和奏に何かあったら…。
そう思うと、どんなに面倒な事も大抵我慢出来た。
「まぁ、ツッキーと皐月さんが付き合えて、本当に良かったよ。お似合いなんだから、周りもそっとしとけばいいのにね。」
山口がそう言った。
いつも余計な事ばっかり言う奴だけど、
こればっかりは頷かずには居られなかった。
本当に…そっとしておいて欲しい。
山口とはそこで別れて、一度自宅に帰った。
出発前にご飯も食べないといけないしね。
食後に携帯を確認したけど、和奏からの連絡は入っていないので、予定通り谷地さんと一緒に行くのだろう。
どうなったのか、メッセージくらい送ってくれてもいいのに。
そうは思うけど、一緒に居る時間が長過ぎて、
携帯で連絡を取り合う習慣がそこまで無いのは事実だ。
合宿中は普段ほどは一緒にいれないだろうし、
こまめにメッセージを送るように言っておこう。
そうして集合時刻に合わせて、学校へ向かった。