第2章 軽風
別に和奏と付き合う前から告白される事もあった。
「君に興味ないから。」
返事をする時はまだマシで、
呼び出されても行かない事の方が多かった。
和奏と付き合い出してから、何故か告白される回数が増えたけど、
今まで以上に迷惑に感じた。
「迷惑だから。」
極力無視する方向で、どうしても返答が求められる場面はそう答えていた。
でも、その時の僕は知らなかった。
女の子の思考回路と言うのは、自分に都合のいいように出来ている事。
「月島くん、独り占めとかズルくない?」
「幼馴染だっけ…そんなの恋愛感情じゃないでしょ。」
「月島くんもあいつにばっかり優しいしね。」
こんな会話が耳に入った時も、最初は頭が悪過ぎて話にならないと思っていた。
独り占めってか…僕は和奏の彼氏だし、そもそも物じゃないんだから、共有される覚えはない。
そして…恋愛感情じゃない…だっけ?
自分にろくな幼馴染が居ないからって、勝手に僕達を自分達の例に当てはめないで欲しい。
この気持ちが恋愛感情でなければ、何だと言うんだ。
僕が和奏に優しいのは当たり前だ。
理由など必要ない。
地球が丸いのと同じくらい当たり前だ。
下らないから無視しようかと思って、通り過ぎようとした時に聞こえてきた。
「ちょっと痛い目みて貰えばいいんじゃない?皐月さん。」
どう考えたらそう言う答えに辿り着くのか、
皆目見当もつかないが、女の子の思考回路は自分では計り知れないとその時知った。