第13章 雄風
ゆっくりと夜が明けるのを待った。
状況は絶望的だけど、自分のやらなくてはいけない事…というか、自分に出来る限られた事は明確で、その事が私を冷静なままで居させてくれた。
朝日が昇るのと同じタイミングで、携帯でメッセージを送信する。
私に出来ることを一つづつやるしかない。
今日は朝食当番ではないから、出来れば、朝一番にやってしまいたい。
[おはよー!大丈夫だよ。昨日の場所でいい?]
スグに返ってきたメッセージを確認する。
昨日、あんな事があったのにメッセージを見た限りでは木兎さんの様子は変わらない。
変わったのは私の心境だとハッキリわかる。
指定したのは朝食時間までの短い時間。
その短い時間で、伝えることは決まっている。
「昨日はツッキーと話せた?酷いことされなかったか?」
待ち合わせ場所に先に来て居た木兎さんが開口一番にそう言った。
本気で心配してくれているのがわかる。
この…木兎さんの優しさに…甘えていた。
「蛍には…別れて欲しいと言われました。」
少しの沈黙。
私は今、どんな顔をしているのだろうか。
「和奏、抱きしめていいか?なんか、和奏がここから居なくなりそうで怖いんだけど。」