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【ハイキュー!!】月夜に吹く風 R18

第12章 夕風


どれくらい歩いただろう。
振り返っても…もう2人は見えないだろうか。
見なくてもすむだろうか。

校舎の壁にもたれて、そのまま座り込む。
一度座り込むと、今までどうやって立って居たのかもわからない。

僕…泣いてるのか。

こんなところを誰かに見られたら…そう思うけど、涙が止まる訳じゃないし、立ち上がれすらしない。

かっこ悪い…。

和奏の気持ちを全然わかってあげられなくて、
八つ当たりして傷付けて、
謝る事も素直に出来ず…。

そうやって、僕は和奏を失った。

「蛍…。」

ゆっくりと顔を上げる。
なんで…?

「何でいるの?」

目の前に立つ和奏の顔は今にも泣きそうだ。

何で僕なんかを追い掛けて来たの…?
そんな必死な顔して。

「蛍…。ごめん、私…。」

あぁ、僕を憐れみに来たんだね。
それなら、余計なお世話だよ。

「謝罪なら聞きたくない。」

そう言うと、黙って俯いてしまう和奏。

何で…和奏が泣くのさ。

その涙を拭ってあげたいのに…和奏に手を伸ばす事を躊躇する。

手を伸ばして、また怯えられたら…。
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