第12章 夕風
どれくらい歩いただろう。
振り返っても…もう2人は見えないだろうか。
見なくてもすむだろうか。
校舎の壁にもたれて、そのまま座り込む。
一度座り込むと、今までどうやって立って居たのかもわからない。
僕…泣いてるのか。
こんなところを誰かに見られたら…そう思うけど、涙が止まる訳じゃないし、立ち上がれすらしない。
かっこ悪い…。
和奏の気持ちを全然わかってあげられなくて、
八つ当たりして傷付けて、
謝る事も素直に出来ず…。
そうやって、僕は和奏を失った。
「蛍…。」
ゆっくりと顔を上げる。
なんで…?
「何でいるの?」
目の前に立つ和奏の顔は今にも泣きそうだ。
何で僕なんかを追い掛けて来たの…?
そんな必死な顔して。
「蛍…。ごめん、私…。」
あぁ、僕を憐れみに来たんだね。
それなら、余計なお世話だよ。
「謝罪なら聞きたくない。」
そう言うと、黙って俯いてしまう和奏。
何で…和奏が泣くのさ。
その涙を拭ってあげたいのに…和奏に手を伸ばす事を躊躇する。
手を伸ばして、また怯えられたら…。