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【ハイキュー!!】月夜に吹く風 R18

第12章 夕風


それから、結構長い時間、和奏と木兎さんは抱き合ったまま…何かを話しているようだけど、僕のところからは聞こえない。

これ以上見たくないのに…足が地面に張り付いたように動かなくて。
声を出したいのに…どうやって呼吸をしているかもわからない。

ただ終わる様子のない悪夢を延々と見せられ続けている。

それがどれくらいの時間続いただろう。

笑顔で和奏の唇を奪う木兎さんに、現実に引き戻される。

…やめろ。

…もう…やめてくれ。

何度も唇を重ね合う2人は、幸せなカップルそのもので…。

これ以上、僕に見せないで…。

「ん…ぼく…と…さ…。」

その時、聞こえた和奏の声。
色気のある声で、僕以外の名前を呼ぶ…和奏の声。

このまま見ていたら、2人はもっと先に進むのだろう。

引き寄せられるように、ふらふらと2人に近付く。

「何…してるのさ?」

声を掛ければ、木兎さんが視線だけをこちらに向ける。

離れろよ。
僕の和奏から…。

和奏もこちらに気付いたのか、驚いた表情で青ざめている。

ふーん。
僕の事が怖いの…。
けど、僕には和奏の方が怖いよ。

ここに立っているのもやっとなくらい…。

何で、そんな目でこっちを見るのさ…。

何で、木兎さんの腕の中で、そんな怯えた目で僕を見てるのさ。
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