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【ハイキュー!!】月夜に吹く風 R18

第12章 夕風


じゃあ、あの時すぐに問いただせばよかったのか…?
右手の拳を痛いほど握った。

あの時には既に手遅れだったとしたら…?

何で…?

いつから…?

何で…?

たくさん疑問が浮かんで来るのに、その答えを何一つ見つけ出せない。

その日の練習はとにかく早く終わればいいのに…とそう思っていた。
練習さえ終われば、和奏と会って話せるのに…って。

練習終わりにすぐにでも和奏の所に行こうとしたけど、キャプテンに用事を頼まれれば、断るわけにもいかず、すっかり夜遅くなってしまった。

気持ちばかりが焦る。

まだ和奏は起きているだろうか?
そんな事を思いながら女子部屋へ向かう僕の視界を横切って、和奏が走って行った。

会いたかった人物が目の前に居たのだから、すぐに声をかければ良かったんだ。

でも、どこか冷静な部分が、こんな時間に1人でどこへ行くんだ?と僕に疑問を抱かせた。

どんどんと校舎の奥へと進んで行く和奏を追い掛けて、見てしまったものは悪夢みたいな光景だった。

え?木兎さん…?
何で木兎さんが和奏と…?

和奏がたどり着いた先で待ち構えていた木兎さんの姿を確認して、思わず足を止める。

そして、木兎さんが広げた腕の中に、自ら飛び込んで行く和奏を何も出来ずに見ていたんだ。

何で…?

もう一度、拳を握り締める。
信じられない光景で真っ白になりそうな頭を、握った手の痛みで繫ぎ止める。

裏切りへの怒りが込み上がって来るのと一緒に、足元から沼に沈むような絶望感が襲って来る。

何でだよ…和奏。

何でって…今朝、自分でも感じたばかりじゃないか。
木兎さんは危険だって。
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