第11章 猛風
「そっか。じゃあ、和奏はツッキーに謝りたいの?」
和奏が話し終わった頃合いで、念の為確認する。
そういう話だったよな?
ツッキーと別れたいって話なら、今すぐにでも叶えてやるのに。
でも、俺の希望なんて知りもしない和奏はコクリと首を縦に振る。
素直って残酷だな。。。
「でも…木兎さんとの事…蛍が許してくれるはずありません。」
和奏の言葉にピンっと来る。
その手があった!
コレ、まだ挽回出来るだろ。
最初みたいにツッキーに言うぞ…って脅してもいいけど…和奏が俺を信頼し始めてる今なら、もっと有効に使える。
「じゃあ、俺が黙ってるって言ったら…、和奏もツッキーに秘密に出来る?今後一生。」
「そんな事…出来ません…。」
だよな。
和奏は好きな奴に隠し事とか出来るタイプじゃない。
「じゃあさ…ズルい提案だと思うけど、ツッキーにちゃんと謝って、別れてさ…本当に俺の彼女になってよ。もう無理だと思ってんなら、逃げてもいいんだよ。」
和奏は少し驚いた顔をしたが、その表情に拒絶は含まれていない。
「ツッキーがどんだけ怒ったって、俺が守るから。俺なら、和奏が何しても許すよ。ヤキモチ妬いても、1人で心配して空回りしても、例えば他の男に心揺れたとしても…って、そんな事態にはしないんだけど!でも、どんな状況でも俺に帰ってきてくれるなら、全部許す。」
和奏の表情を見ればわかる。
迷っているんだと。
つい2日前にドシャットくらったところだってのに…。
「ごめん。付き合ってからって心に決めてたけど、さすがにコレは我慢出来ない…。少しでも前向きに考えてくれてるなら嬉しすぎる。」
自分の作戦にまんまとハマってくれた和奏が可愛過ぎて、思わずキスをする。
和奏を独占できるとか…たまらん。