第12章 君に素直になる方法
「何だよ、それ。勝手に決めてんなよ。それに…俺だってきっと和奏が思ってるような奴じゃなくて、好きな奴が目の前から居なくなってから好きだって気付くような奴で…。和奏が思ってるよりずっとダサいかもしれない。」
和奏の涙にあははと笑いが混じる。
「私、きっとそんなダサくて可愛い黒尾先輩も大好きになります。」
あぁ、もう…本当…幸せ過ぎてやべぇ。
和奏の目元にキスを落として、直接涙を拭う。
「あっ…でも…黒尾先輩…?あの…その…セフレの方々は…?」
は?
俺が此の期に及んで、まだセフレなどと関係を持つと思っているのだろうか…?
いや、今までの俺の行動からはそう思われて、当然なのかもしれない。
「バーカ。整理の必要な込み入った関係の相手なんて1人も居ねぇよ。俺にはお前1人居れば十分だ。だから…今すぐ俺の女になれよ。」
何が楽しかったのか、クスクスと笑っていた和奏が突然唇を重ねて来た。
本当に不意打ちの多い女だな。
「はーい。今すぐ黒尾先輩の女にして下さい。」
今度は俺が驚く番だ。
そういう意味じゃ無かったんだけどな…。
和奏なりの冗談だろう。
断る理由なんて一つも…。
「おい、家の人は帰ってこないんだろうな?」
「まだ2-3時間は帰って来ません。」
断る理由なんて、一つもない。