第3章 召しませ/甲斐
「慧くんそのシールどうしたの? かわいいな」
「まちがくれたからさ。せっかくだから貼ってみたぜ」
「そうなの? …なにゆえ教科書に…」
「裕次郎にもくれるとおもうよ」
「あ、慧くん」
「不知火」
「慧くんもシールもらったんだ? 俺、まちにペンでなまえ書かれちまったよ」
「し、不知火の教科書も!す、すごい大惨事だああ!」
「恥ずかしかったけどさあ、女子たちがかわいいって誉めてくれるからさあ、なんか……」
「不知火、うれしそうだな!」
「そりゃ…ちょっといいなあ」
「いいなあー」
「俺もほしくなってきた…テニスのシールもってないかな」
「……シールでモテたいていうか、本音いうと彼女がほしいんだけど」
「…」
「まあね…」
「俺いまおまえのかんがえてることわかるよ裕次郎」
「な、なにさ」
「がんばれ」
「がんばれよー」
「やっやめろ!慧くんだっておんなじことかんがえてるだろーー!」
「あと、永四郎もまちのこと気になってるみたいだから」
「うそ?!」
「ええっ…敵うのか…?!」
「ホレ、とにかくシールもらって来ればいいよ裕次郎!」
「まち俺にもシールくれーー!」
☆
女子からもらったシールを堂々と教科書に貼ることができる男・田仁志慧!