第2章 ~服を纏えば、隠せたのに~
私が主にタオルを持っていくと、主はずぶ濡れになって凍えていた。
いつもなら、大丈夫かと問うのだろうけど、そんな気分に離れなかった。
雨で濡れたタイツ、赤みを帯びた顔、荒い息…それに、服がはだけて少しだけ見える胸。
自分自身を疑いたくなったが、私は欲情していた…ずぶ濡れになった主に。
麻衣「いち、ごさん…?タオル…」
一期「えっ…あ、ど、どうぞ…」
麻衣「顔、真っ赤だよ…?」
主が私の顔を覗き込んできて、私は後ろに下がって距離をとった。
欲情したことを知られたら、きっと主は軽蔑する…そんなことをするわけないと普段なら気付くだろうが、今の私は頭が回らなかった。
一期「だ、大丈夫です!風邪ひかないように、お風呂の準備をするので…少しだけ待っていてください」
麻衣「そこまでしなくても…」
一期「それでは…!」
きっと、変なやつだと思われた。
それでもいい、欲情したなんてことが知られなければ、変なやつにだってなってやる。
主だけには嫌われたくないから。