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優等生と人見知り【幽遊白書】

第2章 入学式


昔からぼんやりとした光に包まれたものを見ることが多かった。つるりとした玉状であったり、たわしのようにとげとげであったり、動物のような耳や鼻があったり、人のようであったり、いろいろな形をしていた。恐ろしい形をしていることもあったが、それらは私に危害を加えることはなかった。自分以外の人は見えていないというが、構わず私は見えているものの話をした。最初はおかしな子と周りに面白がられたけれど、次第に影に隠れて変なやつだと後ろ指を指されるようになった。きづいた時には気持ち悪いと言われ、口をきいてくれる人はいなくなった。当時の担任の先生は、クラスメイトから私の噂を聞き心配したようで、放課後に悩みはないかと質問した。先生は一通り私の話を笑顔で聞き、話が終わるとみんなを脅かすのはやめなさいと説得した。その時はなぜ先生がそんなことを言ったのかよくわからなかったけれど、今思うと、私が目立ちたいがためのパフォーマンスをしていると思ったらしい。私はもう一度見えているもののことを詳しく話したら、先生は今度は私の話を遮り目を三角にして、そんなものはいません!とどなった。数日後、帰りのホームルームで、もううそはつきません、と言うことになる。学校に通うためには必要だと自分を納得させたが、嘘をつくのが嫌だった。誰も仲間がいないとトイレで泣いた。
それ以来、私は人前ではぼんやりとした光に包まれたものに話しかけなくなった。それどころか、きっと理解されない、と人との関わりを諦めた。
私が学校に馴染めない、楽しくない、と両親に伝えた頃、丁度両親の間で転勤の話も出ていたらしく、転校をすることになった。そうするうちに、私のおかしな行動をおぼえている人はいなくなった。

高校の入学式で見かけた後ろ姿の中に、ぼんやりと光に包まれている人がいた。以前、通っていた小学校にも同じように生徒の格好をしているけれど、他の同級生には見えていない子がいた。その子もやはり同じように淡い光に包まれていた。この高校にも同じような子がいるんだな、なんて思いながら目で追っていると、その人が光に包まれていない同級生と会話をしていることに気づいた。
目が離せなかった。
もしかして、彼も見える人なのか。いつか、話してみたい。人と距離を置くようになってから人と関わりたいと思うことははじめてだった。
淡い光に包まれている彼の名は、南野秀一君。
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