【イケシリ】sweet dreams*2【短編集】
第4章 あなたに焦がされて —王宮アラン―
夜半過ぎの騎士宿舎のキッチン。
そこに、場所にそぐわない2人の息遣いが満ちていた。
「そんなによかった?……なら、もっとよくしてやるよ。」
「やだ、まだ……っ 」
アランの頬や指を濡らすそれはもう、アランの汗なのかミルクの達した証なのかわからない。
とっくに焼きあがっているはずのクッキーたちは、オーブンの中に入ったまますっかり待ちくたびれている。
「な、んで今日こんなに……っ 」
まだ波が引き切らない身体を、間を置かずに攻められる。
足元には、下着と長めのソックスが散らばっていた。
アランは再びの中へと指を進める。
「こんな格好で一日城の中うろうろしてたってことだ、ろ……っ」
反応がいいとわかっているそこを、指先がぐっと押す。
「この服、どうした?」
質問する間も、とろとろに溶けたそこをさぐる動きは止まらない。
「クローゼットにっ……ぁ……冬服が追加されたときに、その中にあったの 」
「ふうん?」
さっきまで一緒に作業をしていたキッチンの台の上に乗せられているはすでに2度昇りつめたあとだ。
「や、声でちゃ……っ 」
「今日のメニュー、ハードだったし。あいつら全員泥のように眠ってるから。大丈夫。」
ここは騎士宿舎。その名の通り、ウィスタリアの騎士団員たちが寝起きしている建物だ。
もしアランの言う通りだったとしても、プライベートな部屋と同じというわけにはいかず、は必死で声を抑える。
先の2回も耐えに耐えて、体力の尽きてきた身体は思うようにならない。
「アラン、怒ってる?」
「べつに……怒ってない。
おまえのこんな姿、俺より先に大勢見たんだと思ったら癪なだけ。」
あぁそっか拗ねてるんだと、いつもより意地悪な恋人の行為に納得したは頬がゆるむ。
それを見てアランは眉を寄せた。
「なに考えてんの。」
「内緒。」
「これでも?」
太ももを抱え内側を舌でなぞると、は思わず膝を閉じそうになる。
「こら、足閉じない。もっと開いて……。」