第28章 シャッター
「じゃあ、そこに並んで下さい。」
棟方さんに言われ、花を抱いた高杉さん、私、佐久間さんの順に並ぶ。
佐久間さんと高杉さんの間に挟まれ、思わず舞い上がってしまいそうになるが、これはただの家族写真。
おじいちゃんが孫を抱き、娘夫婦と並んで取る家族写真だ。
「こっち、目線下さい。」
きっと素敵な思い出になるだろう。
「美波、今日のワンピースも似合ってる。」
佐久間さんの声か耳元で聞こえた。
「脱がせやすい?」
少し舌足らずで甘えたような口調。
耳たぶが熱くなる。
私は今でも佐久間さんに夢中だ。
「これで最後です。」
シャッターの音が鳴り響いた。
【シャッター】おわり