第19章 泡の魔法はもう解けた●
「彼がいなくて一人の時は、映画を観て過ごすの。
もちろんお酒を飲みながら。
お風呂の中にタブレットを持って行って、泡風呂に浸かりながらゆっくり観るのがすごく贅沢な時間で好き。
恋愛ものなんか観ちゃった日には、彼の帰りが待ち遠しすぎてたまらなくなっちゃうの。
お互い会えない時に何をして過ごすかも大人の恋愛では大切だと思う。」
そんな愛美先生の言葉に影響を受け、バスタブに浸かりながら映画を観る。
普段は絶対にしない泡風呂と、赤ワインを注いだグラス。
時刻は午後9時を少し回ったところ。
今日も佐久間さんは仕事で遅くなるそうだ。
それでも…
朝、目が覚めた時に隣で眠る佐久間さんの姿を見るだけで幸せだった。
作り置きしておいた料理を食べてくれていると、胸が弾んだ。
毎日くれるメッセージに心癒された。
今はライブツアーの真っ只中。
『ツアーが終わったら、どこか旅行へ行こうね。』
そんな愛おしいメッセージを胸に、私は毎日を過ごしていた。