第18章 同じ数の月を見ていた
愛美先生の“勘違い”に戸惑いながらも、私達はいつもの居酒屋へとやって来た。
もちろんお酒も飲んでいる。
「僕、お酒強いんですよ。」と、いつも言っている田辺先生だが、ビール以外飲んでいる姿を見た事が無い。
本当はあまりお酒が好きではないのかもしれない。
いつも愛美先生と私に付き合って飲んでくれている。
そんな気がしていた。
「函館は中学の時に修学旅行で行きましたよ。」
「夜景ですか?」
「そうです。
確か、早朝に網走から特急に乗って夕方函館に着いたんです。
そこから宿泊先のホテルで夕食を食べて、バスで函館山の山頂まで。
みんな疲れてぐったりでしたけど、夜景を見たらテンション上がっちゃって。」
「素敵な思い出ですね。」
「盛り上がった親友が好きな女の子に告白してフられて、結局傷心旅行になっちゃったんですけど。」
同じ北海道出身である田辺先生との会話は、どこか懐かしさを感じさせてくれた。