• テキストサイズ

【年上の男】 R18 ※加筆&修正中

第17章 秋桜が咲くのは湿った土の匂い


屋上の扉を開けると、彼女はこちらを振り返り大きなため息をついた。



始業式から一週間、彼女はこうして毎日登校していた。



正直、退学の道を選ぶのではないかと思っていた。

村瀬先生との関係が破綻した今、彼女が学校に残る理由は無くなってしまった。

気持ちを新たに勉学に励む…など彼女には難しい事だろう。



村瀬先生との出来事は17歳の彼女にどれほど大きな傷を負わせた事か…。



出来る事なら変わってあげたい。

やはり、私は彼女が可愛くて可愛くて仕方ないのだ。



しかし…私にも大きな悩みがある。

彼女の痛みを引き受けられるほどのキャパシティーなど今の私には無い。



彼女の隣へ行き、スーツのポケットから溶けかけのチョコレートを手渡す。

気の利いた言葉をかけられない私は、こうして彼女の側にいる事しか出来ないのだ。



彼女にとって、それは鬱陶しい事かもしれない。

それでも、私は彼女の側から離れはしない。



きっと…彼女には私しかいないのだから。






/ 768ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp