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【年上の男】 R18 ※加筆&修正中

第15章 ひとつだけ


どこまでも続く朱色の空に、思わずため息が漏れた。

電話を切り、海岸沿いの道を歩く。



足どりは軽やかだった。

昨日までの迷いはもうない。



美波が“家出”をしてからの1ヶ月半…。

会いたい気持ちを必死にこらえ、今日まで過ごしてきた。



「親子で過ごす時間をくれないか?」

そう高杉に打ち明けられた時には、罪悪感を感じた。



高杉と美波の関係を…俺は知っていたからだ。



アパートの中庭で倒れたのは偶然だった。

あの日は、近所の公園のベンチで酒を飲んでいた。

心地好い風に吹かれながら、見えもしない星空を眺めていた。



好きな事を仕事にするという事は…決して楽な事ではない。

何事も表裏一体。

光が強ければ闇も深い。



心に迷いが生じた時には必ず“原点”に立ち返った。



ライブハウスの帰り道、金が無かった俺達はよくあの公園で缶ビールを開けた。






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