第9章 甘い嘘●
「ぁあんっ。」
私が絶頂へと達したのを確認したかのように、佐久間さんは勢いよく陰茎を引き抜いた。
肩で呼吸をしながら、私の腹の上で避妊具に精液を吐き出す。
感情的に思えたセックスでも、相手の身体を気遣かえる優しさ。
そんな優しさに思わず笑ってしまった。
「…笑わないでよ。」
「すみません。何だか愛おしくて。」
「愛おしいだなんて初めて言われたよ。」
「私も…初めて言いました。」
そう照れたように笑いながら避妊具を外した佐久間さんは、再び私の身体へと覆い被さる。
鼻先をそっと触れ合わせ、微笑み合う。
「優しく出来なくてごめんね。」
「謝らないで下さい。」
「…ごめん。」
きつくきつく佐久間さんの身体を抱き締めた。
トクントクンと佐久間さんの心臓の鼓動を感じる。
汗の匂いと甘くスパイシーな香り。
私は…
佐久間さんの全てを受け入れよう。
そう強く思った。
【甘い嘘】●おわり